ヒューマンライツ情報発信ブログ「Mの部屋」1 まずは差別問題の「基礎基本」①

 これまでFacebookを中心に、人権問題や差別問題に関する情報を発信したり、デジタル記事などをシェアしてきましたが、この度、おそがけながらブログを開設し、情報発信に努めようと思います。

 仕事を始めて、かれこれ18年、たくさんの人に出会い、たくさんの価値観や生き方、人生に出会い、たくさんの学びに出会わせてもらっています。

 ここ数年、新型コロナウイルスの感染拡大が、潜在化していた差別を表面化させ、既存の差別を悪化させ、マイノリティに及ぶ不利はさらに荷重となっています。

 「差別」という言葉が連日マスメディアで報じられるとともに、さまざまな主体でも差別問題への関心が高まりました。詳しくは以後のブログで紹介したいと思います。

 以前から気になっていたことですが、この「差別」というもののイメージされる性質や範囲が、ずいぶん狭義で語られていることに、従来以上に違和感を抱くようになりました。

 マジョリティにとって「差別」とは、

 特定のマイノリティ性を有する人に対する差別発言や差別落書き、ネット上の差別投稿、就職差別や結婚差別、土地差別などについて、悪意をもった個人がおよぼす問題と捉えていられていることが割と多くあります。これ自体、「間違い」というわけではありませんが「正解」ではありません。

 マイノリティにとっての「差別」とは、

 前述した内容を含みますが、それ以上に、制度・事物・慣習・構造に関わる問題であり、日常のさまざまな場面で差別被害が起きている問題と捉えています。

 差別が制度や慣習、構造の問題であることについては次回以降、具体例をあげて紹介します。

 差別問題の原則について、私の経験や学びに基づき、紹介してみます。

①差別は、基本的に悪意のない人がする問題です。

 差別する意図を持って行われる差別は少数派であり、無自覚に差別しているパターンが圧倒的です。自分の言動が差別だと認識できていない場合や、差別は制度や慣習、構造的な問題であるため、それに気づけない人たちが、駅にエレベーターが設置されていないことで特定の属性を有する人が利用できなくなる、不便を強いられる、不平等な結果を生み出すという差別をつくる。制度や構造的な差別に、マジョリティが結果として加担する、容認してしまうという点について考えてみても、基本的に悪意のない人たちがする問題と言えます。

②誰もが偏見をもたされる情報が、この社会で溢れ、私たちは常に影響を受けています。

 「無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)」と呼ばれるものです。社会的多数派に大きく優位に傾いている社会であるため、そこから発信され続け、空気のように存在するさまざまな情報は、社会的多数派が中心となり、あたかも社会的多数派しかいないような情報で溢れています。そのため、「人は差別をしてしまうもの」からスタートし、だから「差別をしないための努力」を積み重ねることが求められます。

③差別は、「差別する意図」があるかないかは基本、無関係です。

 特定の言動によってマイノリティの権利が侵害される、傷つけられるという結果あるいは結果が起きる可能性が最大の問題です。身近なところで、時には自分自身が加害者となって無意識に人を傷つけていることが起きている可能性が高いです。「無意識の差別(マイクロアグレッションなど)」と言われているものです。

④能動的で積極的な学びや自分を問うことが求められます。

 万人が能動的・積極的に差別問題などについて学び、何が差別かを知り、自身の中にどのような差別意識や偏見が社会的に植え付けられたのかを自覚的になるための行動を取らないと、人を傷つけ権利を侵害していること・差別を支えていることに気づけないということが起きてしまいます。

⑤マイノリティに差別解消の責任を追わせることがあってはなりません。

 差別解消の責任を、差別を受けている、受ける可能性のあるマイノリティに課すことには「加害性」があります。マジョリティがマジョリティに対して差別を解消するための具体的行動を起こすべき問題です。マイノリティが被差別体験を語ることで「偏っている」「被害者意識が強い」など、傷つけられてしまうリスクが伴います。マイノリティに被差別体験を語らせたり、差別をなくすために何が必要かの具体を求めることを前提にすることは問題があります。

⑥常にアップデートが必要になります。

 普段、使用する言葉や意識、価値観が、現在の基準では差別になるということがあったり、人権の概念などは日進月歩で変容したり、新しくなります。スマートフォンのキャリアのように常に最新で質の高い知識や認識を備えておかなければなりません。

⑦意識だけではなく、社会構造そのものを変えることが必要です。

 差別は制度や慣習、構造の問題です。意識変革を目的に取り組まれる教育や啓発を否定しているのではなく、意識変革に取り組みながら、差別を生み出す制度や慣習、構造を変容しないことには、問題解決には至らないということです。

 ぜひ、参考となる書籍がありますので、お買い求めください。超おすすめです。


 今回はここまで。ご覧いただき、ありがとうございました。


3件のコメント

  1. とても読みやすく、しかも分かりやすいです。そして、全体的なレイアウトもスマートです。なので、very goodです。

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