「ブラック校則」。この言葉はずいぶん社会に浸透してきました。よくないものを黒色に例えることについて、個人的にはあまりよく思っていませんので、「クソ校則」と名付けます。とてもマスメディアなどで取り上げられる表現ではありません。ここで紹介する校則の例は2年前の事例であり、現在は改善されています。ただし、外部からの指摘がないと、2年前という、つい最近まで、とんでもないものがルール化されていました。
県教委も「人によります」が、学校長が決める校則ですが、変えていかなくてはと取り組んでいる人もいます。問題にしているのは「組織としての対応」です。
職場や運動で、この問題を取り上げようと思ったのは、高校生からの相談でした。
入学して間もなく、この子はアルバイトをして家族を支えたり、自分の将来のため貯蓄しておきたいと、私利私欲でもなんでなく、たまたま生まれた環境がそうであった子です。
高校の校則には、「原則アルバイト禁止」の文字が並んでいました。当然、入学説明会や体験入学で、そうしたことを公にしていないので、結果としては後出しジャンケンという卑怯なやり方です。
そして校則には、但し書きがあり、「経済的理由や家庭の諸事情により必要な場合、学校の許可を得てアルバイトができる」とありました。この子が教師にその意味を確認したところ、「経済的にしんどい家庭のこと、シングル家庭などのこと」ということでした。
そうすると、アルバイトをしている生徒=そうした環境の生徒という見方ができ、本人のタイミングや特定の人にしか知られたくないようなプライバシーに関することを自動的に知られてしまうことに嫌悪感を持った、なのでアルバイトができないという相談でした。
高校側は、マジョリティの特権への学びや、マイノリティ生徒に及ぶ不利や被害をものの見事に無きものにしていました。「成績不振者」についても、学力と経済力は相関関係が出ていることが明らかな中で、学校としての責任を放棄し、生徒や保護者の「自己責任」に転嫁しているような校則も複数ありました。
私が高校に在籍していた時から20年以上が経過していますが、このルールは変わっていませんでした。校則をやぶると、謹慎や停学などの処分を受けます。アルバイトをしているところを教師に見つかった子が処分された例は高校生の時も、今の仕事についた時も行われていました。何故、学校の許可を得る必要があるのでしょうか。
私の場合、生徒を大切にしようとしているとは思えない学校のあり方に反発して、処分されないようにしながらも、髪の色や服装などルールを守らないという抵抗をしていました。しかし、学校毎に行われる「頭髪・服装検査」で合格が出ないと、登校を許されないという状況でした。学校の許可なくアルバイトをしていました。なんで、そんなことまで管理されないといけないのかという感じです。
反発していただけで、ルールを変えようとはしてこなかったことで、校則で悩まされている生徒の存在を知り、生徒たちに他にどんな校則があるかを聞いていくと、酷い有様でした。
髪の毛の色が少し茶色いだけで、地毛だと伝えても、すでにバイアスを有している教師から疑いをもってみられ、信じてもらえない。縮毛なので地毛証明書の提出をせまられていました。これを見た時は、驚きを超えました。
他にも、生徒の身長とスカートの丈をセンチ刻みで「校則」に書いている学校もありました。もはや校則ではありません。これを本当に測っているとしたら、セクシュアルハラスメントに該当すると私は思っています。
まだまだあります。8頭身以上のイラストを持って、生徒の「あるべき服装や頭髪」を校則に位置付けている学校、靴下の色についての校則の中に「へんな色」と書ける学校があったり。まるで刑務所のように、生徒を「管理」することを、これでもかと徹底するような内容が目立っていました。
アルバイトをするにあたり、家の環境がどうであるかを説明しても信じてもらえず、関係のよくない母に書類を書いてと頼まないとアルバイトができません。制服のスカートを履くのがが苦痛である、等々、子どもの権利、主体性などをものの見事に無視をし侵害する状況が昔とほぼ変わりなく常態化していました。高校の在り方などに反発する力、このような問題ばかりの校則を守り続けてきた生徒も多かったわけです。(後半に続く)
校則に関する本がありますので紹介します。
ご覧いただき、ありがとうございました。
私のいる市町では昨年から時代の要請もあり校則が変わりつつあります。令和5年度に制服が市内で統一されて色々と選べるようにはなりますが、またまだ誰もが楽しく通える学校には程遠いと思っています。
三重県内も高等学校はずいぶん変わってきましたが、中学校はどんな校則があるのか、ほとんど掴めていません。そのため今年度、中学校に向けてアンケートを実施します。誰もが楽しく過ごせる学校にしてほしいですね。