ヒューマンライツ情報ブログ「Mの部屋」56 何故、差別はいけないのかを再確認

 何故、差別をなくす営みが世界各地で行われているのか、そもそも何故、差別はいけないのか。このことについて歴史的惨状やこの間、諸外国で起きている非人道的問題などに触れながら取り上げてみました。

 世界共通の認識として必要なのは、この「憎悪のピラミッド」です。世界では、過去に、そして現在においても、この構図を持って深刻な問題が起きています。この憎悪のピラミッドについて解説していきたいと思います。

1 先入観による行為

 冗談、デマ、特定の人種などの属性を有する人々に対するデマを流すこと、敵意を表明すること、マイクロアグレッションを起こすこと、排除するような言動に及ぶことであり、基本的に「差別的な意図のない発言や行為」が該当します。これは「非刑事的事象」と言われています。

2 偏見による行為

 1の問題に対する有効な施策が講じられず、問題が解消されぬまま、結果として放置される状況にあると、問題は悪化する段階を歩み始めます。特定のマイノリティ属性に対して嘲笑するような言動を行う、「ゴキブリ」など人間として扱わない表現や行為み及ぶといった明確に差別的な意図を有する表現やヘイトスピーチが該当します。その他にも誹謗中傷などが挙げられます。これも「非刑事的事象」です。

3 差別行為

 2の問題に対する有効な施策が講じられず問題が解消されぬまま、結果として放置される状態である場合、問題はさらに悪化していきます。特定のマイノリティ属性を有する人々に対し入居を拒否する・就職させない・教育を受けさせない・結婚や恋愛を反対するなどの差別行為を指します。これは「民事的行為」とされています。

4 暴力行為

 3の問題に対する有効な施策が講じられず、問題が解消されぬまま、結果として放置される状態である場合、問題は取り返しのつかない事態にまで発展していきます。特定のマイノリティ属性を有する人々に対する殺人、テロ、暴行、放火、強盗、脅迫等の「ヘイトクライム」の段階に入っていきます。最近では、京都府宇治市のウトロ地区への放火事件が起こり「ヘイトクライムである」という声が多数上がってきています。インターネット上に蔓延る在日コリアンへの「偏見による行為」が「3 差別行為」を飛び越え、「4 暴力行為」にまで発展した例です。これは「刑事的行為」として刑事罰の対象となります。

5 ジェノサイド

 ジェノサイドという言葉は「人種や民族、部族」を意味するギリシャ語と、「殺害」を表すラテン語が組み合わさった造語であり、集団殺戮・殺害などの「意図的・制度的な特定人種や民族の抹消」を指します。明確な「刑事的行為」です。ナチスドイツによるユダヤ人等の大量虐殺や迫害である「ホロコースト」への対応として、国連でジェノサイド条約が採択されました。第二次世界大戦後も、カンボジア、旧ユーゴスラビア、ルワンダなどでジェノサイドが起きています。また、今のところは、ジェノサイドと認定されてはいませんが、ミャンマーでのロヒンギャへの迫害が問題視されており、ジェノサイド認定の是非が議論されています(認定には数年かかる例が多いです)。さらに、現在のロシアによるウクライナへの軍事侵攻についても「ジェノサイドである」といった声が上がっています。

最後に

 差別は取り返しのつかない惨劇を生み出してきました。今、圧倒的にこの危機感が欠如してしまっているように思えてなりません。インターネットを通じて、凄まじいスピードと勢いで「1 先入観による行為」「2 偏見による行為」が拡散され、前述したように国内で「ヘイトクライム」が発生しました。日本はここまできています。政府に必要な政策を打ち出させ、自治体や企業等においても、あるべき施策を展開させていく必要があります。

 ご覧いただき、ありがとうございました。

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA