前編で紹介してきた児童扶養手当受給者が置かれている現状を、今回は「生活面での困りごと」に限定した内容で紹介します。母子家庭がいかに厳しい状況を背負わされて子育てをしているかを、ぜひ知ってください。
・経済的なことです。養育費を払ってもらっているので生活できているが、いつか支払われなくなったらと思うと不安です。公正証書は作ってあるので申し立てをすればいいが。でも、そんなことをして相手に何か言われないかと考えたりします。
・今は実家の両親が助けてくれているが両親がいなくなった時の事を考えると不安で仕方がない。
・これからの経済的な事、子どもに負担をかけてしまう。持病(精神的なもの)があるため、仕事を長時間できない。
・仕事は期間社員で年齢は41歳です。月20日、8時間、働いて月16万円なんですが、年金や、その他、税金の差引きで(3万5千円)、13万円弱の収入しかなく、子どもの塾や生活費でギリギリか足りなくなり悩んでいます。
・職場での人間関係や給料面等で仕事が続かず、職場をかわることが多く、給料が少なくて、生活が苦しいです。正社員にやっとつくことができ、これからなので、少しでも楽になっていけたらなと思うのですが、情けないです。
・今現在は金銭的に不足はしていないが、子どもの将来、大学への進学を考えると心もとない。将来、もし自分の両親に介護が必要になった場合、育児と仕事と両立できずに、生活が苦しくなるだろうと今から不安に思っている。
・経済的負担はかなり大きいです。これから、どんどん大きくなっていけば、その分、かかるお金も増えていくのに中学生までしか児童手当はないですし、扶養手当も収入が少し増えれば、減額されてしまったり、なくなってしまったりします。仕事がもっと出来ればと思いますが、子どもが体調など悪くなると、どうしても仕事にいけなくなったりして毎月の収入も安定しない。もう少し手当ての額が上がったらいいのにと思います。制限が低すぎると、やはり月の収入の安定がない以上、それ以上の収入が増えるより、決まった時に、きっちり確実に頂ける手当てが本当に頼りになっています。住まいも市営など、いろいろ考えますが、今の地域から出てしまえば、子どもの学校が変わってしまったりするので、なかなか思うようには行かないですね。今の住所のあるところでは市営などの空きもないようなので。
・母子家庭なので、今は元気ですが、もし私が病気等になったらと考えると、子どものことが心配です。一人っ子ですし・・・。お金も今は何とか生活していますが、貯金はなく、その場しのぎなので、先々、大きなお金が必要になったらどうしようという不安もあります。仕事も毎日おそく帰ってくるので、夕食など手抜きしてしまうので、子どもに申し訳ないと思いながらも、休みの日しかきちんとつくっていません。
・子どもを高校に行かせるために塾に通わせているが金額が高いため、とても生活が苦しい。1人親と言う事で親や姉妹や親戚が近くにいないため、頼っていく所がないので困っています。離婚して精神的ダメージがあり、不安神経症、更年期障害になって2年位たつのですが、なかなか治らなくて自分1人の給料では、ギリギリの生活なので、入院したりで働けなくなってしまったら子どもを育てていけないし、アパートの家賃も払えなくなるし、身内が近くにいないので、常に不安で仕方ないです。
・高校の部活動費がとても出費が多い。どこの高校の部活も遠征代が多いと聞いているので支払っているが。子どもがやりたいと言うやる気を尊重しているが、生活費にかなり負担がかかっている。
・仕事が終わるのが遅く、子どもの話を聞いてあげられない。お金に余裕が全くない。家も中古住宅を格安で購入したが、メンテナンスにお金がかけられず、どうしたらよいかわからない。相談する相手が少ない。母子家庭だから同じ事をしていても、私だけ時々、文句を言ってくる人がいるので気をつかう。仕事と家のことで疲れることがあるけど、どうしようもなくて余計にしんどい。
・自分が病気もあり、今年は役員や手術などもして精神的にきつかった。ストレスで急性胃炎、慢性胃炎にもなり、子どもの事が今年は後回しにしすぎて、かわいそうな事をしているのはわかっているが、体力的・精神的にも役員を2月に引き継ぐまで精一杯な感じである。これから子宮頸がんの定期検診(手術したので)(4ヶ月に1回を5年)胃腸の治療と1年づつの胃カメラや検査等、継続して行かなければいけない不安がある。それを子どもの前では、言わない、見せないように気をつけている。親戚から実家から出て行くように言われているが、実家を出て親子での独立生活は今の私には無理がある。役員仲間でも、子どもの事で仲間はずしにされた事があり、夏休みの地区の野球に行かせず、やめさせた。年が上がれば、これからもっとハッキリとしたイジメや母子家庭が差別されるのではないかと心配です。
このような状況を改善・解決していくために、当時、市長に提言した内容を抜粋して紹介します。
提言1 生活困窮者の発見と生活保護等の捕捉率の向上のための具体的施策の展開
提言2 社会保障制度等の改革や充実
提言3 貧困から脱却するために必要な「学力」の定着と向上
提言4 課題の発見と貧困の原因を是正するための実態調査の実施
提言5 包括的で柔軟な子ども・家庭支援体制の整備
提言6 就学前以前から貧困の連鎖を絶つ妊産婦支援
提言7 生活困窮世帯や公的支援対象者への差別意識の払拭
こうした声がきちんと届く、きちんと聞けるようになるためには、どうやって困りごとを打ち明けてもらえる関係性をつくるかを徹底的にこだわることです。私の場合、子どもたちとたくさん遊ぶことで、子どもたちにとって遊びたいと思う人・場所ができ始め、関係性ができてくると、「学校はどう?」「家はどう?」みたいな問いかけに、具体的な話が出てくるようになります。
また、子どもがとても楽しみにしている姿や遊んでくれる人の名前を保護者さんも覚え、「いつもありがとうございます」と言われることをスタートに、保護者さんが知らないかもしれない子どもたちのふとした場面のことなどを伝えていき、「お仕事どうですか」「家ではお子さん、どんな様子ですか」みたいな声がけからはじめ、時に自分自身の悩みなども伝えていくことで、子育ての悩みや仕事の悩みや家族に関わる悩みなどを出しやすいきっかけをつくったりしてきました。
具体的な内容は、職場が発行している研究紀要をご覧ください。このような本がありますので、紹介します。
ご覧いただき、ありがとうございました。