ヒューマンライツ情報ブログ「Mの部屋」21(後編) 「ブラック校則」ではなく「クソ校則」じゃない?不利を強いられるのはマイノリティ

 そこで、県立高校の校則すべてを情報公開で請求し、憲法や子どもの権利条約と照らし合わせる作業、問題のある校則の洗い出しをはじめました。すると出るわ出るわ、権利侵害しか生み出さないルールの数々。学校はもとより、県教育委員会も文科省も、校則を決めるのは学校長という理由でノータッチだったことは、権利侵害を認めていたという加担と容認をしてきた加害者に腹が立ちました。こんな時、自分は対立構造を作ろうとします。権力には抗うものと教え込まれたからです。

 マスコミを巻き込もう、議会を動かそう、生徒を焚きつけよう等々。これにストップをかけてくるのが公権力。「連携していきましょう」という名目のもと、学校サイドから県教委が攻められることがないようにという魂胆だと思いました。最初の情報公開は私個人の名前で請求しましたが、その後は職場で公開することになったのも、県教委が社会的反発を喰らわないための防御策だと思っています。

 今流行りの暴露ではありませんが、個人で請求した際、校則の内容にあまりにも腹が立って、フェイスブックで公開したところ、県教委の管理職から直々に、「どう取り扱うかは請求者の自由ですが、我々と約束したこととは違うのでは」と釘を刺されました。それに屈したわけではありませんが、学校を動かすために、多少譲歩しました。とはいえ、2021年度に高校生向けアンケートを実施する予定でしたが、確かに感染拡大の影響はありましたが、校長会での説明する機会をつくってくれないなど、実施できないようにもっていかれたと個人的には思っています。

 運動側からのプッシュにはじまり、職場での取組、マスコミに情報提供し報道され、議会でも取り上げられるなどで、県教委は校長会などで説明し続け、全学校での「生徒なし」での見直しがはじまりました。やはり、ここでも生徒は蚊帳の外です。

 新年度、理不尽な校則を撤廃した新たなスタートを切った直後、お世話になっている毎日新聞の記者が、頭髪に関して従前通りの運用をしていた学校が複数校あることが報じられました。教育長が謝罪するに至りました。

 今のところ、学校側から生徒に対して校則すべて見直しを促すアプローチをした学校はゼロ、生徒側から校則問題を提起した学校は、知る限り、たった2校です。1校は私の「弟子」です笑。入学式を終えた直後、男子の頭髪規定のあり方に問題提起したところ、教師から「きまってあることだから」と言われたとのことでした。生徒の声を大切にしようとしない典型例を初日でできてしまう学校には、あきれさせられます。

 頭髪や服装の自由化は、学校内だけでとどまるものではなくなります。例えば、面接の際、スーツを着ていなくても、パンプスを履いていなくても、登校中に、ピアスをつけていても、髪の毛の色を染めていても、ツーブロックでも、社会の側がそのことを持って排除しないアップデートが必要になります。制服を自由化にする議論に対して地域や学校のOBが反対の意思を示し学校に圧力をかけることは、良くあることです。トランスジェンダー生徒やスカートを履くことに苦痛を感じる生徒のことを一切無視して。

 最近、東京に行った妹が派遣会社で働こうと就活をはじめましたが、早速、髪の毛の色を黒く染めるよう求められたと言っていました。社会の側に誰がどこが取り組むのか、これからの大きな課題です。

 生徒の自主性や主体性を尊重し、ルールはより良きものに変えるものと教え、生徒たちで学校を変え、つくり、社会を変え、つくる。あるべき教育活動が義務教育から養われるシステムの構築に取り組んでいきたいです。

 校則は学校や教師が生徒を管理しやすくするためにつくられるものではありません。学校の主体は子どもたちです。校則は多様性の尊重につながるもの、自由な環境を保障するためのものでなくてはなりません。

 憲法や子どもの権利条約に照らし合わせ、権利を侵害するものになっていないか、チェックすること。

 マイノリティが不利な状況に立たされることを理解し、画一的な対応を図るのではなく、個別・優先・具体を持った対応を学校側が図ること。

 なぜ、この校則が必要なのか、思考を停止せず考え続けること。

 生徒の自主性や主体性を育むために、生徒参画を原則とした学校運営を行うこと。

 保護者や地域、企業等に向けて、「求められる多様性」とは何なのかについて、ともに考え、知識や理解をアップデートする機会をつくり、茶髪であろうが、ピアスをつけていようが、それだけを持って排除しないこと。

 校則に関する本がありますので紹介します。


 ご覧いただき、ありがとうございました。

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