ヒューマンライツ情報ブログ「Mの部屋」18 「講演先あるある」① 一生忘れない出来事。

 これまでと少しテイストを変えて、講演会などの講師として招かれた際、実際にそれを経験した瞬間は、とてつもなく嫌な思いをしたり、腹が立ったり、驚いたり、がっかりしたりしたことも、時間が経ち、今振り返れば、それが周囲を和やかにする「ネタ」になるような体験はありませんか?

 数年前にFacebookに投稿したら、そこそこバズった経験があります。地域や団体が特定されないように、忘れることができない体験を紹介します。ちなみに、私の経験だけでなく、お世話になっている方々からも、笑えたり驚いたりした体験談をお聞かせいただきました。

①150人が入れる会場の衝撃、ある種の「ディープインパクト」

 とある市役所から市民向けの人権講演会の講師にお招きいただき、メールを中心にやり取りを進め、当日を迎えました。講師派遣依頼の文書には、参加お予定者の属性が書いてある上、「参加予定者120人程度」と書いてありました。市民向けということもあり、わかりやすさ・伝わりやすさを特に意識して講演の中身をつくったのを覚えています。

 講演開始1時間前に到着してほしいということだったので、割と急いで会場に着くと、すでに入り口で待機をいただいていた事務局の方がお待ちいただいており、会場と控室へ案内いただきました。準備を終えたのが講演開始40分前。持ち込んだ仕事をしながら、チラチラと時計を見て、残り30分、25分と開始時間が近づくにつれ、担当者や関係者の顔色がみるみる変わっていく様が見えました。

 講演開始5分前になり、舞台袖に案内され、待機していると、どうも会場の様子が変だと伝わる空気感が漂っていました。そして、名前が呼ばれ、プロフィールを紹介いただいた際、担当者の方が「今日は参加者が非常に少ない状況で申し訳ありません」と言われたので「人数じゃないですよ」と返し、「それではよろしくお願いします」の司会者の進行後、舞台へ出ると会場にいた参加者は、事務局を覗くと「2人」。150人入りの会場、依頼文には120人程度と書かれていたのに「2人」。講演をした後、担当者の方々に聞いたところ、「実は案内自体が不十分でした」と言われ、さらに詳しく聞くと、関係するところに案内を出していないことがわかっていました。唯一の参加者だった「お2人」、「担当者の家族」でした。案内を出していないことがわかり、私に気をつかって急遽、呼んだということです。それはそれは、ものすごいモチベーションで、わかりやすーい表情をしていました(笑)。

②軽自動車でブレーメンの音楽隊?

 今から15年ほど前のこと。関東地方に講演に招かれました。西日本での講演が多かっただけに、アウェーを感じながら新幹線で向かいました。最寄駅から会場までは5キロメートル以上もあり、主催者からタクシーで来るように言われていました。駅から約15分かけて会場に到着。

 90分間、講演をし、拍手をいただき、司会者によって講演会は閉められました。パソコン機器をあれこれ用意していたので、片付け始めたのですが、参加者の方、数名から質問や感想をいただき、応対させていただき、再び片付けを初め、「さあ帰ろう」としたところ、会場には私一人。部屋を出て入り口に向かうも、誰もいない。後にわかったのですが、主催者さんたちは、年に1度の県レベルの講演会の後、打ち上げがあり、時間が少し押したので、慌てて打ち上げ会場に向かったとのことでした。

 「私はどうやって帰ればいいのだろう」。途方に暮れます。すると、最後に会場の鍵をかける役割の人がトイレから出てきたので、慌ててつかまえて「ここから駅までどうやって行けばいいですか」と聞いたところ、「あー、そう、バスがあります。停留所が会場を出て左側にあるので、バスをつかってもらえれば」と言われたので、「ありがとうございます」とお礼し、バス停に向かいました。

 外では、参加者が今日の感想を話していたり、世間話をされている方がちらほらとおられました。バス停でしばらく待っていると、友人も講師として招かれており、私と同様に、バスで駅へ向かうように先ほどの方に言われたとのことです。さらに、友人が一人。計3人でバスを待ちながら、仕事のことあれこれ話をしているのですが、一向にバスが来ません。で、友人の一人が、「あれ、土日運休って書いてあるよ」と、そこで初めて土曜日はバスが来ないことがわかりました。

 3人でどうしようかと迷っていたところ、その様子を見てくれていた参加者の方が「どうされました?」と声がけいただいたので、「帰る手段がなくて、タクシーを呼ぼうかと言ってたところなんです」と言うと、「タクシー土曜日は簡単に捕まらないですよ」と言われ、「私の車に乗ってください」とおっしゃっていただきました。「神様はいるんだな」と思い、その方が「車をまわしてきます」と言われ、しばらく待っていると軽自動車を横付けしてくれました。「ありがたや」と思い、乗ろうとしたところ、運転手を含め、すでに3人乗車中。「えっ」と思ったのも束の間、「どうぞ。前に二人乗ってくれたら行けますから」と言われたので、なんと助手席に私が先に座り、その上に友人が乗るという、「ブレーメンの音楽隊」「組体操のサボテン」状態で、20分、警察に最大警戒しながら駅までお送りいただきました。駅で降りると、利用客の多い駅だったので、見られる見られる。今のようにスマホが流行していたら、撮影されインスタやTikTokに載せられていただろうなと。

 翌日、主催者さんに嫌味のメールを送ったのを今でも覚えています。

③だから自分でお昼を食べていくって言ったんだよ

 6年ほど前、西日本で講演に呼ばれ、利便性から車で向かうことにしました。主催者さんとのメールのやりとりの中で、「昼食を用意させていただきます」とありがたい申し出を頂いたのですが、魚介類や甲殻類アレルギーがあったり、嫌いな食べ物も多いので、自分で食べていきますと伝えたのですが、遠慮しないでください的な電話までいただいたのですが、ご当地の食べ物が楽しみだったこともあり、食べれないものを伝えた上でお断りしました。しかし、それでも用意しますと何度もおっしゃっていただいたので、「それではお願いいたします」と感謝とともにお礼をし、当日、会場に直行しました。ご挨拶を済ませ、パソコンを設定し、控え室にご案内いただき、「机に昼食を用意させていただきました」とお弁当が置いてありました。食べ物に贅沢を言っては行けないという教えを受けてきたので、素直にお礼をいい、控え室には私一人になりました。荷物を置き、お弁当を食べようとしたところ、包み紙には「か○どや」と書かれており、380円の唐揚げ弁当をご用意いただいてありました。2日前、近所で食べたばかりです。。。

 衝撃だったのは、「あつかましい」と思われるのを承知で言うと、380円の「領収書」が置いていただいてありました。つまり、立て替えたので支払ってくださいと言うことでした。これまでの人生で、あれほど380円を出し渋ったことはないのではないかと思います。「だから、ここへ来たらあれを食べたくて、自分で負担してでも食べたいと何度も言ったのに」と歯痒い気持ちになった中での講演、うまく行かなかった記憶があります。

 これもシリーズで紹介していこうかと思います。私とよく似た経験をした人がいたり、主催者が駅から会場に向かう途中、横転事故を起こし、頭を切って数針縫い、そのまま講演した、かつて「サイボーグ」と呼ばれていたあの人の話、職員研修会で私は2人でしたが、職員に案内を出さなかったため、時間を過ぎても「一人もこなかった」とある講師さんのお話等々、たくさんネタがございます。

 ご覧いただき、ありがとうございました。

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