ヒューマンライツ情報ブログ「Mの部屋」110 人権文化の構築に無関心にならないための「実践・行動(アウトプット)」型人権学習の展開を

 マジョリティには、努力や実績とは無関係に、自動的に人権が保障される構造や慣習・慣行、観念が用意された、合理的配慮が行き届いている社会にあることで、インプットを増やしたり、アップデートしたりすること、何か行動を起こすことに、消極的になりやすい構造が働いていると以前、このブログに書きました。

 では、何をどうすれば、同じようなマジョリティにならないか、どんな学習機会などがあれば、義務教育のように学校が学習する機会を用意しなくても、積極性や能動性、主体性が育まれていくのかは、とても重要になります。せっかく、米騒動や一揆、全国水平社の創立や統一応募用紙の取り組みなどを学んでいるのに、それを「すごい」ということで終わらせず、「自分たちに何ができるのか」を考え、行動していけるようにすることが大切です。

 ここでは、児童生徒がアウトプットに取り組んでいく事例を挙げてみましたので、参考にしてもらえればと思います。

「1」地域の住民さんや保護者さんが「生徒」となり、児童生徒が「先生」となって授業をする

 自分(たち)が授業するとなると、事前に授業の内容の組み立てが必要になります。どんな内容の授業をするか、どのように進めるかなどを考える必要が出てきます。そうしたことを学校以外でもオンラインツールを使って、生徒同士で相談し合うこともできます。地域住民さんや保護者さんが、授業を受けて、「こんなことに気づいた」「こんなことを初めて知った」などのレスポンスがあれば、なおよくて、児童生徒が「自分たちでも差別や偏見、決めつけや思い込みに気づいてもらうことができた。自分たちでも差別をなくすことができる」など、行動することの大切さ、差別はきっと無くしていける、減らすことができるなどを実感することができます。

「2」小学6年生が下級生に、中学生が小学生に授業する

 「1」と同様で、下級生に授業というかたちでアウトプットする機会があると、授業を組み立てることに能動性が生まれ、学校以外の場でインプットを増やすことにつながっていきます。

「3」人権通信の発行

 人権に関する学習の中で、知識として得たこと、気づいたこと、先生やゲストティーチャーからの話などを受けて、その内容をまとめたり、災害に関する人権のことなど、気になることなどについて、人権通信を作成し、住民さんや保護者さんに配り、読んでもらうことを通じて、「1」のようなレスポンスがあると、差別につながる考え方や意識を変えること、気づいてもらうことができたとなったりします。

 配布方法は、このような駅前や公共施設などの前で配ったり、地域の市民センターなどから広報などの配布日に、地域住民に配布してもらうなどを依頼することが必要になります。子どもたちが直接出向いてお願いしたり、電話でお願いするようなことも必要になります。

「4」啓発グッズを制作し配布や販売をする

 子どもたちに、人権啓発のためのグッズをつくり、配布をしたり販売するようなことができます。どんなもので啓発するか、どんな内容のものにするかを考えていくプロセスと、配布や販売のための行動が大切です。また、配布や販売する機会についても自治体や自治会、イベントや祭りの実行委員会などにお願いをするようなことも必要になります。

「5」人権啓発動画の制作

 動画を作ろうと思うと、シナリオやセリフ、デザイン、役割、映像の編集などを考える必要が出てきます。できた動画は、校区内のさまざまな団体などが会の始まりで流すなど、周知や啓発に取り組んでもらえるようにしましょう。

「6」人権クイズの発題

 クイズの内容を個人やグループなどで考え、発題することを通じて、知識や気づきを与えていくことができます。私の姪っ子が小学6年性の時に取り組み始め、仲の良い友だちが「何してるの?」と声をかけてくれたことで、一緒に取り組むようになりました。クラスで披露すると、その噂は隣のクラスにも伝わり、隣のクラスでもクイズ大会をしたそうです。

「7」住民さんや保護者さんへの人権アンケート

 項目を考え、アンケートを実施し、集計したり、分析したりして、住民さんや保護者さんの意識の課題、差別意識などを知ることにつながり、学習することや取り組むことの大切さを改めて実感することにもつながります。

「8」署名活動

 人権尊重に向けた取組をさまざまな主体に求めていくための署名活動を行うことができます。校内行事や校外行事の際や、駅前などで署名活動をすることができます。

「9」市長や町長、教育長などに要望する

 「8」の署名を自治体の首長や法務局、PTA等、さまざまな主体に提出し、必要な取組を要望することができます。

「10」人権への取組を取材してもらう

 ここで紹介しているさまざまな取組を、新聞社やテレビ局などに依頼をして報道してもらえると、視聴者への啓発効果や、他の学校でも同じようなことをしてみようとするが出てきます。取材依頼も子どもたちがやる必要がありますので、下準備は学校がやりましょう。

「11」人権ノートのシェア

 私の子どもがやっているのは「ヒューマンライツノート」と題したインプットの蓄積で、興味や関心のあるテーマを自分で調べたり、私に聞いたりしたことをノートにまとめ、友だちや先生に読んでもらうという取り組みもしています。

「12」家族と話をしてみる

 家族がたとえば、部落問題とどんな出会い方をしているのか、人との出会いや関わり、地域との出会いや関わり、学習経験、差別を見聞きした経験や捉え方など、多様なことを知ることができます。中には、「放置しておけばなくなるから学習する必要はない」「結婚をするとなると、そうした地域の人とはしてほしくない」というような家族の意識に触れることもあります。では、どうすれば、その考え方を変えていけるのか、家庭の問題ではなく、社会の問題として、クラスや学年で考え、行動していくことが必要になります。

 義務教育の中で、子どもたちが受動的になる人権学習ではなく、能動性や積極性が育つアウトプットの機会を取り入れた人権学習を展開することで、高校以降でも、無関心にならないような状況をつくっていきたいものです。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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